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日曜です

レジデンス1年7ヶ月と7日目

日曜です。今日のライクスは空っぽ。雨だしね。
ここんとこ2週間ぐらいアムスは雨続き、しかも寒いです。寒いと言っても16度ぐらいだけど。コートやマフラーをひっぱりだしてきて着たりします。先月の猛暑はもはや昨年の夏の出来事のよう・・・。

今日のライクスは誰もこないかと思ったけど、しばらくするとGalがやってきて、一緒にお茶しました。今日の話題はたわいもない話や、お互いの仕事の進み具合などです。

先週終結したイスラエルでの戦争の間も、Galは私のスタジオにお茶を飲みにきました。前にも書いたけどGalはイスラエル人です。
「不安でなかなか仕事が手に着かない、家族に電話をしてばかリいる」といいます。
私はなんと言っていいか分からず、甘いもの(友人の送ってくれた虎屋の羊羹)を薦めたり、そのパッケージを眺めたり(きれいだから)、お茶を入れてお互いの国にいる友人の話や家族の話をするだけでした。家族の話をしていても、彼女は生まれたときから戦争が身近にあったとわかりました。
しばらく話しているとGalは「気分が落ち着いた」と出ていきました。

残された私は、とりあえず友人に羊羹のお礼のメールを書きました。
# by arttrace | 2006-08-21 05:03 | ART TRACE | Comments(0)

ついに

レジデンス1年7ヶ月と4日目

 先日友人から届いた「かわちさん、白夜行You tubeで見れるよ」との魔のメール。
そんなこと知ったら、見てしまうじゃないの、おそらく昼も夜もなく・・。
 昼は平常心を保って仕事し、夜になってパソコンの前に座り、おそるおそる検索してみるとありました。白夜行。 何ですって?

「俺たちの上に太陽などなかった。
 いつも夜、でも暗くはなかった」!!??

「昼だと思って生きることができた
 明るくはないけれど
 歩いていくには充分だった」!!??

おおお〜!!!視聴者を惹き付けるのにも充分すぎます!!はじまりからすごいわ。

衝撃的なんだけど、切れ味鋭いというよりは、いつまでもいやな跡が残ってしまうような、ボディのあるしつこい衝撃。たまりません。とくに第1話は秀逸だわ。

 幸いYou tubeには第4話までしかアップされていなかったので、夜明かしして見ることはありませんでした。
 でもこういう、自分まで一緒にどんどんタブーに触れていってしまうような、リアルな引き込まれ方(リアリティのある話だと言っているのではありません)の脇には、武田鉄矢とか八千草薫とかの存在感はかなり重要におもいます。野島伸司ものとは違う感じ。いやー面白いねー。
 
ともかく、お盆の帰省気分をどっぷり味わった夜でした。日本に帰ったら全部観てみます。
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今日の一句
   番茶いれ 椅子に体育座りしてみる 白夜行   
# by arttrace | 2006-08-17 22:13 | ART TRACE

プリント終わったわ〜!

レジデンス1年6ヶ月と26日目

 やっと今日、ドローイングブックのためのユトレヒトでのプリンティング作業(注1)が終わりました。なんという達成感なのかしら・・・もう工房で女工哀史のように働かなくてもいいのね。
 今朝(プリント最終日)、ユトレヒトに行く直前ギリギリまでやり直したけど、ドローイングも仕上げたのね。この達成感は2年前、トレイスギャラリーの立ち上げした時以来では・・。作業のあとはケーキでお祝いしたわ。

 2週間後には、永遠に続くかと思われるだろう紙折り作業(全プリントを製本用に半分に折る作業)が待ってるけど・・トホホ・・気にしないわ〜!!


注1:4月頃から、Iwanに誘われてドローイングブック作りに参加しています。プリントは先月から週3日、ユトレヒトの版画工房GAUで。
 1部96ページX200部(多!)、ハンドシルク。出品者9名、別にアーティストだけじゃなくて、ただのIwanの友達とかも出品しています。
 Iwanが望んだような、線についての仕事、という意味でのドローイングを普段しない私には、この本のためのドローイングを仕上げるだけでもえらい骨が折れました。
 つくったドローイングがシルクプリントというグラフィックなものに変わり、さらに本形式になるということでさらに混乱をきたしたわけですが、でもそのことは、私が見ているもの(見ていないもの)について試行錯誤するいい機会でした。他の人のを見るのも面白かった。でも、これ売れんのかな〜。
 Iwanはこの本を「プリント作品」だと思ってるみたいだけど、わたしはひとつの「プロジェクト」のように思っている。 まあそうは言っても、両者結局ひとつの見たいもののために働いているんだけど。

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今日の一句
  昨日「I want to kill you!!」となじり合った  友と眺める  NSトレイン
# by arttrace | 2006-08-10 19:11 | ART TRACE | Comments(1)

会話

レジデンス1年6ヶ月と25日目

ライクスのライブラリーで借りた小津安次郎のDVDセットをみます。
実はこれ借りたの4度目です。
ライクスのライブラリーのDVDの品揃えは、アートの施設とは思えないほど貧弱ですが、わざわざレンタルDVDショップに行くのが面倒、それから店のレンタル料が高価(どこも旧作1泊で3.7ユーロ=¥530、新作だと4.5ユーロ=¥650くらい)なので、ついつい同じものを何度も借りてしまいます。

私が小津映画の中で好きなのが、その会話です。
事件やストーリー進行としての会話ではない、ただ淡々と行われるやり取りの心地よさで全体が進んでいくようなあの感じ。家族間でも友人とでもご近所との間でも、猫が人間とのすれ違い様にしっぽをちょっと体に触れさせるような、ああいうリズムで画面運びが行われ、全体が進んでいく感じが何とも心地いいです。
たまに若い原節子が友人とふざけ合うシーンもいいな。じゃれあってる感じで。

そういえば私は野球を見るのがすきですが、自分でやるのではキャッチボールが好きです。
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後日談:
 その日は結局、小津安次郎セットはGalに又貸しし、わたしは借りておいたインドの「マハバラート」という5本組(15時間)セットのDVDをみはじめました。インドの神様とインドの王族を巡る壮大な叙事詩(とかいてある)。
これは叙事詩というより、大好きな昼ドラをみている気分になったわ。
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# by arttrace | 2006-08-07 23:55 | ART TRACE

英訳始めます

レジデンス1年6ヶ月と20日目


 この日記の、英訳ページをつくることになりました。いま準備中です。

 ことの始めは、今年始めにアドヴァイザーのAnsuyaと話していた時です。
作品を作るときの私のビジョンの得方とタイトルの関係や、あとその頃は、自分の持っていた制作のプロセス自体から見直そうとしていて、その過程で出来てくる、自分にとってもどう位置づけていいか分からない作品が着々と増えてきていたこと、またいくつかの立体作品を「(絵画制作の準備という意味での)ドローイング」と執拗に言い張るその姿に、その根底には言語の問題があるとにらんだAnsuyaが、「トモコ、日本語でもいいから何か小さなテキストを書いたてみら?」と薦めてきました。

 Ansuyaがいう意味でのテキストかどうかは怪しかったけど、「もう書いてる。web日記だけど。ドローイング(この場合は文字通りの意味でのドローイング)と一緒に。」と答えると、私が英語を苦手なのを知っているAnsuyaが「それはナイスだわ! 翻訳者を雇って英訳してみたらどう?」といいます。

 翻訳者と仕事かあ・・面白いアイデアだけど・・と、まあ日本語の分からない読者にはドローイングと、時折混ざる名詞だけ見てもらえばいいやと思っていたこともあり、そのまま放っておいていたところ5月ごろ、またAnsuyaが今度は「ユカに頼んでみたら?」といいます。

 ゆかちゃんとは、同期の小泉明朗君の奥様で英米文学の研究者でもあり、個人的に親交があったり、好きな本が同じだったりという背景もあったので、「ゆかちゃんと仕事するなら面白いかもしれない」と思い、ゆかちゃんに打診してみて、英訳プロジェクトをやってみることにしました。プロジェクト費はライクスから補助がもらえました。
 Arttraceでweb管理をしている高木秀典君の協力もあり、動き出したのは6月のこと。

 そしていまは8月。
ぼちぼち出来上がってきた英訳文に今日初めて目を通し、一番最初に思ったことは、「ギャハハ、恥ずぅ(かしい)!!」です。「この、英語でしゃべってる人は誰??!!」って。

 でも読んでるうちにこの英語でしゃべってる(書いてる)トモコという人物にも慣れてきました。 
 
 今では英語で読める日を楽しみにしてます。

 難しいことは書いてないし、英語の勉強を始めたいわなんて人にも面白いんじゃないかと思います。

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今日の一句
 スタジオの 電話のコード 長過ぎのまま  1年半
# by arttrace | 2006-08-04 11:10 | ART TRACE | Comments(0)

ライクスアカデミー・バンド

レジデンス6ヶ月と14日目

 おひさしぶりです。
 ヨーロッパは猛暑です。

 今日は、エクストラのスタジオに移した作品の写真撮影をしました。
 撮影が終わって、そのカメラマンとコーヒーを飲んでいた時、バンド(音楽を演奏するグループのバンドね)の話になりました。
 以前ライクスでも、ライクスアカデミーバンドを作ろうとかいう話がでてたよと話してたら(ボーカル担当予定だった事務のSasciaがライクスを辞めてからは凍結状態)、そのカメラマンが「そういえばさあ、バンドってミュージックスクールからはあまり出てこないんだよねえ。たいていアートスクールなんだよ。」といいました。
 ふーん、なるほど〜とおもい、でもそういう種類(注1)の動機で始まる音楽って確かにあるんだよなあ、と思いました。

注1:何か音を出すことへの欲求が先にあって、音楽的要素としては最低限の要素で音らしきものが出てれば良いという構成で始まる種類の音楽。
 最近日本では、そういう種類の音楽のためのミュージックスクール、が出来てきてる気がする。でもどうやって教えるんだろね。

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システム手帳。91x53x13cm
# by arttrace | 2006-07-27 20:38 | ART TRACE

スタジオ

レジデンス1年5ヶ月と24日目

今年半年はほとんどペインティングを描かずに、ドローイングと称する立体、プレ・ペインティングと称する半立体作品ばかり作っていました。
しっちゃかめっちゃかのスタジオを訪れた人には、やりたい放題、とよく言われましたが、私としてはキャンヴァス上ではなくスペース上にペインティングのようなものをつくってみたらどうなるのかな、と思ってのリサーチでした。
でもそういうものばかり作ってみて思ったのは、作ることと見ることを同スペースで混在させるのが物理的に難しいということでした。
その点でキャンヴァス、というのは便利なもの、助けになるものだと思いました。

そろそろスタジオ内の全スペースを使い切って身動きが取れなくなってきたので、余っていた小さなスタジオをもらって、そこに動かせるものは移動させたので、もとのスタジオに絵を描くスペースができました。うれしかったわ。

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# by arttrace | 2006-07-06 01:25 | ART TRACE

フランス対ブラジル

レジデンス1年5ヶ月と18日目

いや〜どの試合もすごいわ、ワールドカップ。ベスト8に入ってからの試合はどれもすごいものがあります。
きょう見ていたブラジル対フランスなんかも、ミスがあったことより、それ以上のすごいプレー、とにかくプレイそのものに心を奪われる試合でした。本当にサッカーが強いチーム同士が戦ってるって感じ、本当にサッカーが強いってどんなことか、を見せてくれてる感じで、見せてくれてありがとう!!と思わずにはいられなかったわ。

そしてHenryがゴールを決めてたのがすごく嬉しい。
# by arttrace | 2006-07-02 06:12 | ART TRACE

Essen & Dusseldorf

レジデンス1年5ヶ月と16日目

今日はライクスのバス遠足でした。行き先は、
1、ドイツはエッセンのMuseum Folkwang Essenで、Casper David Friedrichの大きな回顧展。
 ロマン派の画家のようですが、なんか、薄い絵の具のつるっとした画面や、表現の文法がアニメーションの一場面ような印象を受けました。細密化というよりはミニチュア化してるって感じをうけたのが面白かったです。

2、デュッセルドルフのMuseum kunst palastでZERO-exhibition。
 ZEROというのは50〜60年代ヨーロッパでのアヴァンギャルド・ムーブメントのグループで、展覧会は、ルーチョ・フォンタナとかイヴ・クライン、日本の具体やもの派にもフォーカスをあてそのころの前衛的な動向を包括的に見せようという展覧会した。
具体の作品がたくさん見られて面白かったです。

その頃のビデオ映像もあり、それを見ると、状況のリアクションとしてのアクション、として作品が生まれた様子を見ることができ、(作家のスタジオ内での作品の様子や、群馬野外彫刻展での様子など)そういう作品が美術館というニュートラルで抽象的な空間に「ただのアクション」として置かれることへの大きい違いが見られて興味深かったです。

こういうときって映像って役に立つなあ〜と思います。


3、同じく デュッセルドルフはK21という美術館でMartin Kippenbergarの回顧展(先月までロンドンのテイトモダンでやっていたものの巡回展です)。

K21での展示は、入り口の吹き抜けに「The happyend of Franz kafka's America」があったり、他の作品も広い空間の中にいっぺんに置かれていて、仕事のシリーズ別に分かれつつも共鳴し合っている感じが良かったです。こういう場所だとキッペンベルガーのペインティングのマテリアルがすごく良く見えます。

テイトモダンのような、広いとは言え閉じられた各個室の中で見ているという感じの場所とはまた違った経験でした。見て良かったです。

とりいそぎ報告でした。

写真はCasper David Friedrich。
これは会場でもらったリーフレットからで何ですが、興味のある人はちゃんとした画集など見てみてください。

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# by arttrace | 2006-06-30 09:17 | ART TRACE

仕事のこと

レジデンス1年5ヶ月と15日目

突然ですがふと思い出したことを書きます。

去年木こりについて調べた時、といってもググっていくつか文章を読んだり画像を見たりするだけですが、日本の若い世代の木こりのグループのリーダー、彼は木こりについていろんな場所でレクチャーをしたりしているそうです、が誰か(確か文化人)との対談のページを見つけて読んでいました。そのリーダーは若いのになかなかしっかりした人のようでした。

まず印象に残っているのは、「木こりは山に入ってすぐ木を切ったりしない。まず湯を沸かし、お茶を入れ、一息ついて、切ろうかなと思った時に始める」と言っていたことです。

その若い木こりのリーダーの人は「山の木を切るなと簡単に人は言うが、今現在ある山はもう、人が手を入れないと生きられない」と言っていました。ただ、山と人が共存するためには計画的に切っていくことが重要、とも言っていました。

それを読んだ時わたしは何だかペインティングみたいだ、と思いました。
ペインティングは重ねるだけのものではないです。混沌とした要素の中からあるものを切りとり、物質として残す、混在する要素を整理し見えるものにする、その整理の基準は、それぞれの要素を分かりやすくし協力させ合うこと、にあり、そのことでひとつの表面があらわれます。そうやって作られたレイヤーはペインティングだと感じます。

そしてそう言う種類の仕事をする際には、スタジオに入ってすぐ仕事をしたりしない、湯を沸かしてお茶を入れて飲む、そういうことがとても大事だと最近感じます。
# by arttrace | 2006-06-28 20:45 | ART TRACE | Comments(1)

Marcusのこと

レジデンス1年5ヶ月と7日目

きょうはSema(オランダ人、フォトグラファー)のボーイフレンドのMarcusのことです。

ライクスではアーティストの家族やボーイフレンド、ガールフレンドがアーティストの手伝いをしにきているのをよく見ます。

中でも一番見かけるのはMarksです。
忙しいSemaの代わりにワークショップに出来上がった写真を受け取りに来たり、ショーのインストールを手伝ったり、旅行の帰りは必ず空港まで迎えに来てたり、なぜかLura(Galの犬)を散歩をさせてたり。

背が高くて、やさしそ~な甘い顔をしたそんな彼はミュージシャンです。ギターを弾き、エフェクターと打ち込みをつかった一人演奏です。

この間、Paulienが彼のCDを聴かせてくれました。歌詞がオランダ語か英語かよく分からなかったので、「何歌ってるの」ときいたら全曲Semaのことでした。

すごい・・・!!ちょっとビックリしたけど、でもそういうのすっごく良いわ。

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# by arttrace | 2006-06-20 09:14 | ART TRACE

W杯

レジデンス1年5ヶ月と1日目

皆さんサッカー見てますか。私も見てます。

ライクスにもW杯用プロジェクターが設置され、夕方にはめいめいがサッカーを行い、サッカー賭博も行われ(勝者はアートワークかサービスを受けとることになる)、W杯仕様です。
各アーティスト、自国が負けるかベット(賭けの予想ね)がはずれるかすると、肩を落としてスタジオに帰っていきます。大抵その後は何も手につかないようです。私もこの間のオーストラリア戦後は肩を落としすぎてその後昼寝してしまいました。明朗君はスリッパ投げてたそうです。皆さんはどうしてましたか。
18日は必勝でいかないとね。

オランダ人のアナウンサーが知ってる日本の名前を呼んでくれると何か嬉しい。
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# by arttrace | 2006-06-14 19:19 | ART TRACE | Comments(2)

ベルリンビエンナーレ

レジデンス1年4ヶ月と20日目

今日も話題はベルリンビエンナーレ。ベルリンのテレビ塔はW杯仕様だったよ。頑張れ日本。
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会場は旧郵便局(Auguststrasse5A)。
はじめの部屋に入ると、がらんとした廃墟の床に、片方だけのサッカーシューズが置いてあります(写真右)。写真だと淋しい光景ですが、ユダヤの民族音楽っぽい、力強く明るいリズムの演奏がどこからか聞こえてきています。それを聞いているうちに、淋し気だったサッカーシューズがなぜか面白いものに見えてきます。

 壁には隣の部屋へ通じるドア(穴)があり、音につられて行ってみるとバンド演奏の映像が流れています(写真左)。タイトルは「ベルリンビエンナーレのテーマソング」。いい顔した4人のおじさんたちが先ほど聞こえてきていた音楽を演奏していて、時々「Auguststrasse(会場となったストリートの名前)!Auguststrasse!」と間の手を入れたりしていてかなり面白いです。おじさんたちは演奏後、満足げに何か話したりケーキを切り分けたりしています。
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 作品の面白さを作っているおおもとには、作家の仕事に所有感覚の薄さから来るグッドチョイスがあると思います。「テーマソング」というアイデアからもそういうものを感じます。
# by arttrace | 2006-06-04 05:21 | ART TRACE

ベルリンビエンナーレ

レジデンス4ヶ月と19日目

この間行ったベルリンビエンナーレで面白かった作品をいくつか載せます。

室内に、レールの上に乗った貨物列車の車両がまるまる1台置いてあります。この展示室(ベルリンにある旧ユダヤ人女学校)には、車両が入れられるほど大きい窓も入り口もありません。どこからどうやって見ても本物のレールと車両。
「室内に車両・・・。どうやって入れたのかな?」→「解体して部品を室内に運んでから組み立てれば可能」→「でもまだ何か匂うわ。」→「ひょっとして部品から全部フェイクで作ってるとか?」→キャプションを見ると材料は「木、アクリル樹脂、ペンキ」とかいてある。→嘘でしょおお(ビックリ)!?
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フェイクだと自分に言い聞かせても本物にしか見えません。
ものの重量感って素材から滲み出るもんだと思ってたけどそれは見事に裏切られ、鉄とか木の重量感とか車両として過ごした時間の経過とかが、全く再現されていました。マジックみたいな作品でした。
キャプションの方が嘘(作品)だったりして・・という考えがふとよぎりましたが、それだとほとんど詐欺だからナシということにしました。
# by arttrace | 2006-06-03 00:59 | ART TRACE

Post-it

レジデンス1年4ヶ月と15日目

旅行から帰ってきたらまたアムスは寒くなってました。ビーチは近づいたり遠のいたりです。

ところで先日私はPost-itが欲しくなり文房具屋さんへ走ったところ、日本にあるようなPost-itは皆無でした。あるのはでかいサイズの、ほとんど「貼れて書き込めるメモ」としての用途のものばかリで、あの、ページの斜め上にちょっと貼るだけ、のやつが無いです。寂しかった。
こっちの人は「ページの斜め上に貼るだけ」の用途を用途と見なさないんですかね。「ページにちょっと貼るだけ」のためにお金を出したりはしないんですかね。

Post-itのデザインはMoMAのパーマネントコレクションにもなったと聞いたけど、それも大きいやつかしら、小さい、日本でいう普通のサイズのやつかしら。この差はでかいんじゃないかしら。

アムスは文房具屋さん自体あまりないんですが、あっても日本で文房具を買う感覚より高値だし気の利いたものはないので行ってもそんなに楽しくないです。でもその次行った万年筆屋は楽しかった。万年筆カッコ良かった。使わないけどね。
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写真上からタバコ、Post-it不在の寂しまぎれに買った小型蛍光ペン、アムスで買えるでかいPost-it、後日日本の友人にわけてもらったPost-it、なぜかスタジオに落ちてた切手
# by arttrace | 2006-05-29 03:07 | ART TRACE

Fields

 1、 Ping-pong table
 
先日のイースターホリデーにロンドンに住む友人がアムスに遊びに来てくれました。その時友人がYou tube(注1)で検索して見せてくれた画像、それが「第68回欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」優勝者の作品「マトリックスピンポン」(注2)です。

http://youtube.com/watch?v=r3JgZnbdMPM&search=matrix%20pinpon
 (画像。ぜひ見てみて。)
 CG表現(テクノロジー的解決)ではなく「映画ピンポン」のマトリックス構造(三次元的な軸を持つ構造)を、一旦画面上の視覚的要素だけに置き換えることで、テクノロジー的解決でないマトリックス構造の再現、を行っています。このなんと言うか新鮮な打開策は、自然で見事、かつユーモラスです。
 何が自然で新鮮かというと、この視覚的発想のフィールドがTV画面のサイズを感じさせる、つまりこの置き換えの着想の場としてTV画面を連想させる。発想と表現の手段が「TVを見る側の言葉」っていうんでしょうか、そこが新鮮で面白い、と思いました。

 このマトリックスピンポン、はじめは人物、ボールの動きばかり目で追ってしまいますが、何度か見ていると、このマトリックス構造の表現の達成は、このピンポンテーブルに担うところが大きいと気付きます。このピンポンテーブルの向きを変えることで、場面、視点が立体的に変化していることが視覚的に説明されダイナミズムが作られています。
 このピンポンテーブルの役割は、作品「マトリックスピンポン」を見る観客側が共有する視覚的な場、見る側のための視覚的フィールド(視覚としての支持体、というのかもしれません)、と言っていいように思います。


 2、超フィクション/The Happy end of Ffanz Kafka’s America
 
 その1ヶ月後、私はロンドンに遊びにいきTATE ModernでMartin Kippenbergerの大きな回顧展を見ました。キッペンベルガーの作品は、その文学的着想と同時に、必ず身体で感じられるマテリアルの豊かさ、マテリアル・ラングエッジ(私はこう呼ぶ)があります。それを十分楽しめる良い展覧会でした。
 その中でも第7展示室であったインスタレーション、「The Happy end of Ffanz Kafka’s America」は部屋いっぱいに広がる緑色の(たぶんフットサル)フィールド、その上には、(キッペンベルガーによって提示された)それぞれのタイプの机1脚と椅子2脚のセットが敷き詰められ、それをフィールドの両脇にある観客席から眺めるインスタレーションです。

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 机とペアの椅子、という「場」のモデルは、キッペンベルガーの仕事の中のひとつの単位のような風景、構造です(1つのフィールド(机上)とそれに対峙する2つの用意された場(ペアの椅子))。この構造は、内容としての対話というよりは、対話という場のモデルのように見えます。
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 こんな感じで。

 そしてその異なるディテールを持った「単位、モデル」が、フィクションとして枠取られたおおきな「フィールド」に置かれ、二重構造としての1つの風景を作り出しています。
 両脇の観客席は、観客がその二重構造を持ったフィールドを、一つ一つの「身体的に共有される場、のモデル」のディテールを見ながらも、大きな一つの場として眺めることができる。
 その二重というよりは二乗の構造の様子が、モデルであったフィクション、カフカの「アメリカ」、ハッピーエンドでは無いんでしょうが(読んだこと無いから分からない)、をハッピーエンドにするためにキッペンベルガーが二乗構造に仕立て上げた、というような、「ある達成」を感じさせてくれます。
 「超フィクション」としてのモデル、っていうんでしょうか。いいなあ〜と思いました。


(注1)映像版Limewireのようなもので、画像データをネット上で共有するための検索エンジンらしいです。

(注2)その友人は、この仮装大賞のピンポン製作者が、後日オファーが来てペプシのCMの監修をした、と教えてくれました。 画像はこちら。

http://izuru136.cocolog-nifty.com/shiro/2004/08/cm_1.html

空間はマトリックスピンポンのほうがダイナミックに見えると思う。ペプシは人体が割れることでダイナミズム?華、を出してるよね。

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# by arttrace | 2006-05-23 04:16 | ART TRACE

無題

レジデンス1年と4ヶ月目

今日から1週間ロンドンとベルリンに行きます。ベルリンでは賛否両論だというベルリンビエンナーレを見てこようかと思います。でもビエンナーレ(トリエンナーレ)っていつだって賛否両論ですのね。

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# by arttrace | 2006-05-13 22:45 | ART TRACE

Trying to find the Spiral Jetty

レジデンス1年3ヶ月と29日目

今日はアムスの東側、Sporenburgという埋め立て地帯にあるConsortiumというエキシビジョンスペースでやっているSpoolというショーで面白い作品をみました。Spoolは4回ぐらい続くショーで第1弾はブリティッシュ・アーティスト編。

http://www.consortium-amsterdam.nl/

ショーは、サウンドアートと呼ばれる種類のものの中でも、音によって視覚的イメージ、それも限定された、を生成させる作品によって構成されています。なかでも面白かったのは「Trying to find the Spiral Jetty」と題された作品。Tacita Deanという作家で、この人は98年にターナー賞にもノミネートされているもよう。

 古めの机と椅子が1セット置いてあるだけのインスタレーション、机上には古めのCDプレイヤーとヘッドフォンが置いてあり、聞いてみるとロバート・スミッソンのSpiral Jettyというランドアート作品を見つけようと車で道中している男女の会話や物音が27分間録音されています。

 何で面白かったかっていうと、他のアーティストは写真やDVDなどで限定されない風景を使いつつ、音でイメージを分解、または再構成するような作品だったんですが、この作品は「Spiral Jetty」と」いう名前だけでイメージを共有する、それとそれをまだ見ぬ男女の会話と物音、そのシンプルで具体的な欠落と、それによって生成する確かな音のディテールがユーモラスでもシャープでもあり、好きな感じでした。
# by arttrace | 2006-05-13 00:49 | ART TRACE | Comments(0)

シソ似の劇物

レジデンス1年3ヶ月と28日目

今のアムスはすっかり初夏です、初夏。ビーチで泳ぎたいかんじの毎日です。皆今までの分を取り戻すかのように、日がないち日外で日を浴び、寝そべったり食事したりビール飲んだり散歩したりしています。
私もスタジオにこもっていられず、ちょろちょろ外に出ては散歩しているんですが、こないだ散歩の途中で川でシソに似た植物を見つけ、「シソの仲間かな〜、食べられるかな〜?」と思い匂いを嗅ごうと顔を近づけたら、突然鼻の頭に激痛が走り、半泣きになりながらもよく見ると葉の表面に細かい刺があって、その刺が刺さったというよりはその刺の先に毒があるんじゃないかというような種類の、ヒリヒリした痛みが15分ほど続きました。15分で消えてよかったけど、明日の朝は赤く腫れ上がっているんじゃあ?と思ったほどの痛さでした。無知でいると怖い植物もある。

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この子には注意
# by arttrace | 2006-05-11 04:22 | ART TRACE

水族館02

レジデンス1年3ヶ月と27日目

アムスの動物園の中には剥製の展示室もあります。ここは展示の仕方がちょっと妙で、ジオラマ風だったり、なぜか背後にオランダの町並み(デルフト焼き)が施されていたり、ユニコーンの剥製(勝手に角がくっつけてある)があったりとオランダ風味のユルい展示室です。私は苦笑いですがわりと好きです。

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d0058202_3512356.jpgd0058202_3514363.jpgd0058202_352774.jpgジオラマが昼から夜になったところ。
# by arttrace | 2006-05-11 03:54 | ART TRACE

水族館01

レジデンス1年3ヶ月と25日目

ようやく春が来ました。今年のオランダは例年に比べ、6週間ほど季節の進みが遅いんだそうです。あー寒かった。私の家の前は動物園で、夜にはいろんな動物の鳴き声が聞こえます。ベランダに出ると、母アシカが子アシカにボディーアタックをして暴れているのがみえます。敷地内には水族館やプラネタリウムもあり、この週末には中に入ってブラブラしてきました。その時の写真などを少し。

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見えます?水槽の前面にクチビルを張付けたまま動かない魚。この子の存在によって、後ろの魚たちが(水族館的に)ちゃんと仕事してる、ってかんじに見えてきたのが面白かったです。
# by arttrace | 2006-05-09 00:41 | ART TRACE

OA20

レジデンス1年3ヶ月と12日目

今日のアムスは暖かいよ〜。今度こそ春でしょ。もう〜来たでしょ。4月も終わるってーの!アムス寒すぎ。
今日はペインターのJasper、オランダ人です。可愛い2人の娘のいる大男。


20, Jasper Hagenaar

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上、150x150cmくらいのキャンヴァスに油彩。
下、20x35cmくらいのキャンヴァスに油彩。
# by arttrace | 2006-04-26 03:58 | ART TRACE

OA19

レジデンス1年3ヶ月と10日目

OA紹介19回目。きょうは先日までイスラエルに里帰りしていたGal Kinanちゃんです。喫煙友達です。

No.19, Gal Kinan

Galは自らのパフォーマンスを含んだインスタレーション空間をつくります。今回はインスタレーションとパフォーマンスの部屋をわけていました(パフォーマンスの方の写真ありません、ごめんよ)。インスタレーションは、れんが造りの暗いスタジオの中、間違ったアルファベットの映されるモニターの前で、ロボットがギーギーと音を出して完全でない動き(かなり完全でない)をしています。
ファンタジーをみせる上で、どうしても完全でない部分が出てしまうことにこだわっているGal。


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# by arttrace | 2006-04-24 03:19 | ART TRACE

OA18

レジデンス1年3ヶ月と8日目

きょうはOA紹介します。18人目はオランダ人ペインター、Marijn van Kreij です。Marijnは紙のような質の大きなキャンヴァス(ストレッチャーなし)に、インクなど発色がよく透過性の高い絵の具を、細い筆を使って線で画面を埋めていきます。インターネットから画像をひっぱってくるのが好きです。インターネットみたいな感じの空間をイメージしているらしく、「絵の中に入る」ということをしきりに模索しているもようです。最近の仕事ではエポキシでつるっとさせた表面にテキストを使って制作するようになってきました。

No,18 Marijn van Kreij
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部分。











反対側の壁面。黒のプラスティックシートに黒の線でドローイングしています。










部分
# by arttrace | 2006-04-22 03:01 | ART TRACE | Comments(0)

ガル帰る

レジデンス1年3ヶ月と7日目

やっとガルが帰ってきた。いやー、ルーラの散歩もこれでもうおしまいね。犬(と暮らせる)派とか猫(と暮らせる)派っていうのはその好き嫌いだけじゃなくて、その人が朝型か夜型かとか、時間に縛られるのが平気かどうかとかいう性質でも分かれる気がする。あとはアレルギーか。ルーラは大変可愛かったし散歩も楽しかったけど、「暮らすなら猫!」と思ったわ。
ガルんちで暮らしてよかったのはTVがあったこと。チャンピオンズリーグみてました。
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                          ベンゲル(デビッド・ボウイ似)
# by arttrace | 2006-04-21 04:05 | ART TRACE

はさみ

レジデンス1年3ヶ月と6日目

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# by arttrace | 2006-04-20 00:11 | ART TRACE

レジデンス1年と3ヶ月目

いま、Gal(2年目、イスラエル人)がイスラエルに2週間ほど里帰りしています。その間私はアムスに残された彼女の犬のLura(シュナウザーとアフガンハウンドのmix、後ろ姿がゴリラ似)を世話しています。朝1時間、夕方30分、就寝前に30分、と1日3回犬の散歩をします。
生涯猫派であろう私が早起きして犬の散歩するのはつらいんですが、Luraに引っ張られながら寝ぼけた頭でふと注目するのは、Luraの地面のマッピングの仕方についてです。何か私には見えなくてLuraには見える網の目をたどって歩を進めているあのかんじ。匂いによってマッピングをしているんでしょうが、その、私には公園の芝生だったり、コンクリートの道だったり、木の茂みの葉っぱだったりする違いが、Luraにはそんなことではない情報に沿ってルーラなりに歩いている。その情報がルーラ的に可視化されているところも想像するわけです。同じ犬の匂いは同じ色に見えていたりとか、強い匂いのところは強い色だったりとか。
そんな風にLuraにはみえて私には見えない、でも地面に近いところに確実にあるだろうレイヤーを想像したりします。
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私が想像したのはこんな感じ。
# by arttrace | 2006-04-13 23:15 | ART TRACE

Brokeback mountain再び

レジデンス1年2ヶ月と21日目

日曜日が私のソロショーのオープニング、月曜がインターナルOA(内輪向けのオープンスタジオ、11月末の本番の前に2回あって、各自の仕事の進め方をみせる)と2つの展示準備の同時進行がおわりました。

www.grusenmeyerart.be

自分で言うのもなんだけど、両方ともいい展示だなあ〜とおもい、昨夜はほっと一息つき、日記を読んだ友人が送ってくれたBrokeback mountainのDVDをみました。

さいごにアニスが家具のほとんどない部屋で、クローゼットの扉を開けると、アニスとジャックの同じところに血の染みが付いたシャツがハンガーに重ねて掛けられている。扉の内側の鏡越しにアニスの顔が映る。シャツを手に取って抱きしめ、クロ−ゼットの扉を閉めると窓があらわれそこにはかつて2人で過ごした山の姿が見える。その一連の所作と関係が、何だかとても絵画的、それは幾重にも連なる、関係のモデル、によってみせているこのシーンのレイヤー、の重ならなさ、バラバラさに肝があるのね、とおもいました。
# by arttrace | 2006-04-04 23:08 | ART TRACE

遭遇

レジデンス1年2ヶ月と13日目

ヨーロッパはきょうからサマータイムです。時計が1時間進みます。早いもので、ついこないだ時計を遅らせたばかりな気がする。
ところでとうとう遭遇しました、冬だけアムスに現れるというTバックスケートおじさん。見たい見たいと思いながらあえずじまいかと思われたけど、今日動物園の横で私の横をスケーティングし
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ていってくれました。実際見たかんじでは、背が高くてさっそうと滑ってて、衣装もたしかにTだったけど、スポーツ界ではアリなのね?と思わせる自然さのTで、とくに変人な感じはしなかったわ。むしろかっこよかった。
おじさんとサマータイムとは何の関係もないけど、何か冬ギリギリセーフでみたって感じがうれしかった。
# by arttrace | 2006-03-27 08:28 | ART TRACE

GENT

レジデンス2ヶ月と12日目

今日は来週からあるソロショーの準備ためにベルギーはGENTというところに行ってきました。ギャラリ-はGENTから10kmほど離れた郊外にありますが、美術館みたいなきれいな空間でビックリしました。
帰りの電車ではくたくたで眠りそうになっていたんですが、隣に座った黒人の女の人がすご~く小さな声でハミングをしていて、それが周りのすごい喧騒をすり抜けて耳にはっきりと聞こえてきてなんか不思議でした。さびしいような、眠っていいよといわれているような、不思議な単調なメロディーでした。
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# by arttrace | 2006-03-26 07:12 | ART TRACE